カフェインレスのコーヒーって、どうやってできているの?

その裏には多くの科学が

コーヒーの味や香りは好きだけど、カフェインをとりすぎると体の調子がいまいち。妊娠中・授乳中でカフェインはとりたくないけれど、コーヒーが飲みたい。そんな時に嬉しいのが、カフェインをほぼ全て取り除いた「カフェインレスコーヒー」。「デカフェ」とも呼ばれます。

カフェインを取り除くのは、焙煎前の生豆と呼ばれる段階。現在、カフェインレスコーヒーの加工方法として主流なのはこれからご紹介する3つの方法に分けられます。

1)有機溶媒を使った方法

有機溶媒を生豆に通して、カフェインを取り除く方法。

ペイントうすめ液やネイルリムーバーなど、他の物質を溶かす性質を持っているのが有機溶媒。コーヒーの加工には、主にジクロロメタン(塩化メチレン)や酢酸エチルといった有機溶媒が使われます。コストが低く、よく選ばれている方法ですが、日本では、薬剤が直接食品に触れるということで有機溶媒を使ったカフェインレスコーヒーの輸入は禁止されています。

また、健康への心配に加え、この方法はカフェイン以外のコーヒーの美味しい成分まで一部取り除いてしまうため、風味が損なわれやすく、消費者にはあまり人気がない方法です。

2)水を使った方法(スイスウォーターメソッド)

カナダのスイスウォーター社が行なっている、水を使ったカフェイン抽出法。

カフェイン以外のコーヒーの成分の水溶液を作り、そこに生豆を8〜10時間浸すと、生豆の中からカフェインがだんだんと水溶液へと移動し、出て行きます。カフェインが溶け込んだ水溶液は、活性炭でろ過し、カフェインが濾しとられたらまた再利用されるので、廃棄も少なく、加工の過程で薬品を使用しないので安心な方法です。

3)超臨界二酸化炭素を使った方法

二酸化炭素を一定の温度と高い圧力で加工すると、液体と気体両方の性質を併せ持つ超臨界二酸化炭素という状態になります。これをコーヒー豆にかけると、二酸化炭素がコーヒー豆にすばやく浸透し、カフェインをキャッチし取り出します。

薬も使わず、味も損なわれにくい点で一番優秀な加工方法です。コーヒーに二酸化炭素が残ったとしても自然に抜けていくため、体にも安心ですが、特殊な機械を使用するため、高コストなのがネック。

このように、カフェインを取り除く方法にも色々あり、今後ますます技術の発展が見込まれる分野ですが、現時点ではカフェインを100%取り除くのは難しい様子。90%以上カフェインがカットされていれば、「カフェインレス」として販売できることになっています。

絶対にカフェインをとりたくない時は、ハーブティーや、チコリコーヒー、たんぽぽコーヒーなどの代替品を選びましょう。

最近では、カフェインを元からほとんど含まないコーヒーの新種を栽培する動きも。これにより、加工せずナチュラルな状態でもカフェイン含有量が少ないコーヒーが生まれています。まだまだ数は少なく、市場でもなかなか手に入らない希少なコーヒーですが、これからもっと人気が出てきそうですね。

美味しさを諦めることなく、自分の生活スタイルに合ったコーヒーを自由に選んで楽しめる時代は、もうすぐそこまで来ています!

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