
フォトグラファーとして、日本全国を駆け回る山田大輔さん。ときには景色を、ときにはヒトを、ときにはモノを。日々いろいろなシーンを切り撮っている。一方で、サーフィン、トライアスロンが趣味という、アクティブパーソン。そして、2児の父でもある。
そんなさまざまな顔を持つ山田大輔さんの生き方の一端、そして、側にある“コーヒー”の存在について聞いた。
「コーヒー=スイッチですね」(山田さん)
ーーどのようにコーヒーを楽しまれていますか。
朝、一日の始めに。撮影が始まる前。事務所で作業するとき。あらためて思い返すと、何かを始めるとき、休憩するとき、終わったとき、といった区切りのタイミングで飲んでいることが多いですね。

海に入る前とか、トライアスロンの練習に向かう前など、スポーツする前にもコーヒーを一杯。カフェインを摂取すると、集中力が上がるなんていいますしね。

コーヒーは区切りで飲む習慣のようなものだけど、家でゆっくり淹れるときは、味を追求します。豆を挽いて、メジャーで量や時間を測って、丁寧にドリップして。よく言われることかもしれないけど、そこに流れる時間も好きだったりするんです。

味としては、深煎りのほうが基本的には好きですね。浅煎りや酸味が強いものは、あまり得意ではなくて。ただ飲むタイミングで、選ぶ味を変えたりもします。何かを始めるときはすっきり飲める中深煎り、ブレイクするときはホッと一息できる深煎り、のように。
家で楽しむときは、読書したり音楽を聞いたり映画を観たりと、カルチャーに触れながらが多いかな。レタッチ作業などで画面と向き合っていることも多いので、いったんPCから離れてコーヒーを飲みながら、好きな写真集をパラパラとめくったり。

豆を何種類か買っておいて、そのときの気分で選びます。仕事柄、地方に行くことも多いため、場所場所での出会いも多くて。ビビッときたら、買いますね。そのときは、お店がおすすめするものを試すことが多いです。そのお店の特徴を、一番忠実に感じられると思うから。
コーヒーとの出会い? うーんそうだな、30代になりたての頃。仕事で、ある男性アイドルの写真集を撮ったことがきっかけです。初めての大きな仕事だったから、よく覚えていますね。彼の映画を題材にした写真集だったのですが、映画のテーマが「生活音」でした。その中でコーヒーを淹れるシーンがあって、コーヒーを淹れる音というものを、初めて意識した。そんなことって今までなくて、それで「コーヒーを自分でも淹れてみようかな」と興味が湧いて。それまでも、コーヒー自体は好きだったんですけどね。自分で豆を挽く、淹れるまではしていなかったから。そうするうちに、仕事でコーヒーに関わることが増えたりもして、いろいろな出会いもあって。コーヒーの世界って知れば知るほど奥深くて、これは勉強になるなと。で、どんどん沼に。笑。
「寄り道を大切にしている」
ーー山田大輔さんのマイルールは?
毎朝起きたら、ストレッチと波チェックは絶対にします。仕事でサーフィンに行けない日でも、波の状態が気になっちゃうんですよね、見なきゃいいのに。笑。ストレッチも、作業してる合間に。それこそ、マイルールのようにやっていますね。作業していると、どうしても体が固まっていっちゃうので。区切りにコーヒーでスイッチいれるのに、似ているのかも。
考え方とかそういうことなら、「寄り道」を大切にしています。
結果に対してどれだけ「まっすぐ」「早く」行けるかだけでなく、過程=寄り道も、大切にしたい。僕、もともと美大で油絵を専攻していたのですが、その考え方はそこにはじまっているのかもしれない。絵って、こう描いてこう描いていったら、こうできあがる。っていうのってなくて、途中でいろいろアクシデントがあるのが、当たり前で。絵の具の乾き方も、想像と違ったものになったり。スタートしてからゴールするまでは、プロセスや考え方なんて、どんどん変化・進化するものだと思っています。寄り道があるからこそ、自分のものさしや経験値、知識ができあがってくると思うんです。
もちろんゴールは設定するのですが、なんていうのかな、絶対決まったゴールに行かなくてもいいのかな、というか。そこにいい感じの余白があると、流れにのって、結果うまくいく気がする。
考え方においてもそうだし、普通に「寄り道」も好きですよ。普段いくスーパーやコンビニに買い物行くときも、毎回違う道を通ってみたりね。脇道とか路地とか、好きなんです。
ーーあなたにとって素敵な⼤⼈とは?
どんな大人になりたいですか?っていう質問だったら、もう十分大人なんでね。笑。僕にとっての素敵な大人は、自分の「ものさし」を持っている人。自分の判断基準、価値基準がある人は、素敵ですね。大人ってある程度の経験値で、ものさしを作れると思うんです。だから、若いときみたく直感だけではなく、経験値からの勘で物事を選びとっていく。勘とは、その人がどんな経験をしているかで、作られるものだと思います。だからそれが、魅力とかその人の価値になる。外見もしかりで、経験が見た目のかっこよさにも出る気がします。
ーー1 ⽇にあともう5分あったら?
うーん、何しよう。5分……。それこそ、普段は、5分くらいの合間でストレッチするので、ストレッチかなあ。とくに肩甲骨を動かすと、頭をリセットできる。だから、あともう5分あったら、やっぱり肩甲骨のストレッチをするかな。いずれにせよ、体のメンテナンスに使いたいよね。
5分多くストレッチをしたことで、24時間のパフォーマンスをあげられるなんて、すごく効率的。結果、5分以上の価値になる。自分は基本、めんどくさがりなんですよ。コンスタントに続けたい習慣も、疲労があるとついやる気をそがれてしまう。だからこそ少しでも意識することで、疲れにくい体にしておきたい。そのための5分。積み重ねておきたいです。
山田大輔
フォトグラファー。『ブラタモリ』スチール撮影をはじめとした風景写真、数多くの著名人や企業人、タレントのインタビュー、グルメ、ファッション、旅……と、多ジャンルで活躍。趣味は、サーフィンとトライアスロン。「10代から、80代まで。いろんな人に会える。そういうのも、この仕事のおもしろいところですね」