ネットで「コーヒーの淹れ方」と調べてみると、色々なレシピが見つかります。1杯のコーヒーを淹れるのには、大抵12gから、多くても16g程度のコーヒー粉と、200~300mlの水、というのがほぼ共通の数字。そしてもう一つ、レシピによって大きく異なるとても重要な要素があります。それが抽出に使うお湯の温度。実はこの抽出温度、味のバランスを決めるのにとても大切な役割を担っているのです。温度をマスターすれば、どんなコーヒーも美味しく淹れられるようになりますよ!

お湯の温度によって、コーヒーの味が変わる?
コーヒーの抽出に使うお湯の温度は、低い場合は82℃から、高い場合は98℃とほぼ沸騰したての温度まで、レシピには幅広い温度帯が。また、コーヒー屋さんでオススメの淹れ方を聞いてみた時は、コーヒーによって温度が違うなんてことも。なぜ、コーヒーやレシピによって、使うお湯の温度が違うのでしょうか?
その理由は、お湯の温度によって引き出されるコーヒーの味わいのバランスが変わるから。
高温のお湯は素早く、強くコーヒーの成分を引き出し、低温のお湯だと抽出の速度は遅く、弱くなります。さらにコーヒーの味わいを構成する成分の中で、苦味は高温のお湯により多く溶け出し、酸味は低温でも比較的安定して抽出されます。
焙煎度の浅い豆は密度が高く、成分が抽出されにくいため、低温のお湯を使うとうまく抽出がし切れず、未抽出の酸味が目立つ味わいに。甘さや香りを引き出すには、高温のお湯で効率よく成分を抽出します。
逆に深煎りの豆は密度が低く成分が抽出されやすいので、あまり高温のお湯で抽出を行うと苦味が出過ぎたりと、過抽出気味の味わいになってしまいます。
すでに苦味の強い深煎りの豆の中から、甘みや酸味などの味わいをバランスよく引き出すには、低めの抽出温度がおすすめです。

コーヒー器具の素材の違いも
まずは深煎りには低めの温度(85℃前後)、浅煎りには高めの温度(93度℃前後)が適していると覚えたら、あとは使うコーヒー器具の素材(セラミック、金属、プラスチックなど)にどのくらい熱が吸収されるか、なども計算に入れつつ、そのコーヒーの一番好きな味わいを引き出せる温度を探していきましょう。

筆者がハンドドリップを始めたばかりの時、「抽出温度は84℃程度が最適」とどこかで読んだのを頼りに浅煎りのコーヒーを淹れていたのですが、酸っぱさばかりが際立ってしまい、今ひとつ美味しいと思える抽出ができませんでした。ある時違うレシピを目にし、試しにそこに書いてある90℃以上の温度で抽出してみると一気に酸味のバランスが良くなり、甘さもたっぷりに!今思えば、最初に参考にしていたレシピは昔ながらの深煎りが主流だった頃のものだったのかも。抽出温度によってこんなに味が変わるんだ!とびっくりした経験でした。それ以来、浅煎りは高温、深煎りはやや低めの温度で、と温度を使い分けながら抽出を楽しんでいます。
皆さんも、焙煎度合や求める味のバランスによって、色々な水温を使い分けてみてくださいね!

A cup of KOHII with Love
(執筆:Aya)