豆にこだわる人がいれば、焙煎にこだわる人もいる。そして中には、「飲む場所」にこだわる人がいる。本連載では、お店や自宅とは違う、自分だけの⻘空カフェについて「外で飲む派」のみなさんにインタビュー。コーヒーを飲みたいのは、あんな場所やこんな場所、まさかまさかの場所まで。
今回は、文筆家・甲斐みのりさんにとっての、コーヒーを楽しむ「グッドロケーション」について聞いた。
あなたは、どこでコーヒーを飲んでみたいですか。想像しながらお読みください、爽やかなコーヒーでも飲みながら。

「自然の中で味わうコーヒーと、おいしいパン」
ーー理想なコーヒーシーンは?
日頃から、水筒に入れたコーヒー、おやつ、トレイをカゴに詰めて、公園でのコーヒー時間を楽しんでいます。
公園でコーヒーを飲む時間は、コロナ禍以降、より楽しみになりました。平日は近所の公園で、休日はちょっと遠出して少し離れた大きな公園に行くことも。レジャーシートを持って、途中でおいしいパンを買いこんで、お昼からおやつの時間まで、ゆっくり過ごします。これからの理想は、より自然の中でコーヒーを味わってみたいです。アウトドア用の椅子も購入したので、それを持って。
本格的なアウトドアというよりも、森林公園など、森の入口あたりでじゅうぶん満足です。コーヒーを飲みながら、おやつを食べたり、ゆっくり読書できたらと夢見ています。

春になったら、実際に自然の中で味わうコーヒーを始めたいです。準備の時間も、楽しい。出かける場所のリサーチから、水筒やおやつの種類まで……。あれこれ考えるだけで、楽しくなってきます。都心から車で行けるような森林公園を調べて、候補を探してみよう。
公園には水筒に入れたコーヒーを持参していますが、そのうち、アウトドア用のコーヒー器具を揃えて、その場で淹れて飲めるようにもしたいです。今は紙コップを使っているのですが、アウトドア用のステンレスコーヒーカップの導入もいいなあ。

「どんなふうに暮らしを楽しもうか考えながら飲む」
ーーそのとき持っていきたいものは?
最近、家で読書をすると、家事のことなど気になることが多くて集中できないので、買ったまま読んでいなった本を持ち込みたいです。
この前のゴールデンウィークに公園でコーヒーを飲む用としてレジャーシートやアウトドア用の椅子を買ったばかりですが、小さな折りたたみテーブルも欲しいです。
そして外でコーヒーを味わうときには、やっぱりおいしいおやつやパンをおともにしたい。近くにパン屋さんがある土地を目指すのもいいな、と想像しています。

ーーそのときどんなことを考えて飲むんだろう?
自然の中で、読書しながらコーヒーを飲むとき、物語の世界に没頭したいです。私はエッセイが好きでいろいろな方の日頃の暮らしを綴った本を読むことが多いのですが、いつも本を読みながら、自分の暮らしを見つめ直しています。きっとそのときにも、これからどんなふうに暮らしを楽しんでいこうかと、考えながらコーヒーを味わうのではないでしょうか。
ーーあなたにとってコーヒーとは
気持ちを切り替えてくれるもの。
リラックスできるもの。
純粋においしさを感じられるもの。

甲斐みのり

旅、散歩、お菓子、手みやげ、クラシックホテルや建築など主な題材に、書籍や雑誌に執筆。著書は『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』『地元パン手帖』『たべるたのしみ』『くらすたのしみ』など40冊以上。