コーヒーベルトを中心に、コーヒーを生産している国は70か国近く存在すると言われています。その中でもエチオピアは、多様なコーヒー産地の中でも格別なオーラがあり、その味も、また特徴的です。今回のKOHII豆知識ではエチオピアコーヒーの魅力について紹介します。
1.コーヒーの起源はエチオピアにある。
コーヒーはエチオピアで発見されました。奇しくも我々人類の先祖でもある猿人、ルーシーが誕生したのもエチオピアと言われています。
みなさんは、エチオピアを産地とするコーヒー豆がHeirloom(エアルーム)と記入されているのを見たことはありますか?他国ではブルボン種のように聞き覚えのある種類に分かれているのに対して、Heirloomはエチオピアのコーヒーによく使われる用語です。
エチオピアのコーヒーには、古来より自生する品種が多くあります。そのような在来種をHeirloomと呼びます。エチオピア在来種は、コーヒーが誕生した時から年々、自然交配を起こし、それらを厳密に分けると、その種類は1万種類を超えますが、それらが多種多様に混ざり合い栽培され、Heirloomとしてカテゴライズされます。
コーヒーの起源であるエチオピアのコーヒー。農家さんが生産するHeirloomの中にはゲイシャのような品種が混ざっていることも。エチオピアのコーヒーの独特の魅力、複雑な味わいと面白い風味の背景にはとっても長い歴史があるんです。
2.標高の高さ
コーヒーの生産国は標高の高い地域が多く、中でもエチオピアは高地帯に位置しています。例えば有名なコーヒー産地であるコロンビアの農園の標高が主に1800mであるのに対し、エチオピアは2000mを超える場所に位置する農園が多く存在します。エチオピアの首都であるアジス・アババだけでも、その標高は1800mを超えています。
標高はコーヒーの味に大きく影響します。標高が高いということは、寒暖差が激しい生育環境であるということ。コーヒーはそんな過酷な環境でこそ、どんどん美味しく育ちます。

3.コーヒー生産に適切な気候
エチオピアの気候は、日本の秋に似ています。湿度は高く、コーヒーの栽培に適しています。さらに乾季と雨季がはっきり分かれているので、コーヒーを加工する際に大きな利点があるのも特徴的。雨季にはコーヒーがたくさんの水分を吸収して成長します。乾季には、雨が降らない低い湿度の状態で、コーヒーを乾燥させることができます。このような気候はコーヒー生産に関して言えば、まさに天に恵まれた環境だと言えるでしょう。
4.栄養分が高い土壌
エチオピアは土壌にも恵まれています。エチオピアの土壌は栄養分の多い火山灰でできたバーティソル(Vertisol)です。バーティソルは硬い性質のために雨は降っても水分が抜けやすく、コーヒーの木の根は土壌の深くまで伸びるようになります。それにより、自然にコーヒーの実に届く栄養は増えます。

5.エチオピア人はコーヒーを愛している。
エチオピアの人は本当にコーヒーを愛しています。エチオピアには、コーヒーセレモニーと呼ばれる家にお客様が訪れたときに、煎りたての豆でコーヒーを淹れてくれるという文化があります。私たちのコーヒーの楽しみ方や器具、抽出方法が様々に枝分かれしてきたのに比べて、セレモニーで出されるコーヒーの淹れ方はコーヒー粉をお湯に入れ沸かすといういたってシンプルなな方法。ですが、エチオピア人にとってコーヒーとは、彼らのアイデンティティの根底に関わるものであり、生き方の一部なのです。

これからエチオピアのコーヒーはどのように進化を遂げるか
無限な可能性が潜んでいるエチオピアのコーヒーは、これからどのように進化を遂げていくのでしょうか。エチオピアでは2020年にはじめて、Cup of Excellenceカップオブエクセレンス)が開催されました。この出来事はエチオピアコーヒーの歴史に残り、この先、様々な現象を生み出すでしょう。
本来、エチオピアにはコーヒー農園があまり数多く存在していません。自然の環境で収穫される在来種を地域の人々が収穫し、加工所に持ってくるというのが主流。しかしCup of Excellence開催以降、小規模農園が登場し、計画的に農業を進めるようになりました。計画的な生産により、Kurumeや74110、74112などと多様な品種が生まれ、より高品質で個性のあるコーヒーが市場に登場しました。品質が高く、よりバラエティに富むようになったエチオピアのコーヒーの価値は、これからも自然と向上していくでしょう。
エチオピアのコーヒーは時代の変化に合わせて敏感に変化し続け、その生命力溢れる進化はコーヒーの味にも表れています。
みなさんが日々飲まれているエチオピアのコーヒー。この記事が、エチオピアのコーヒーについてより深く知る機会になれたなら幸いです。時には地球の反対側で育つコーヒーを想像して、目の前の一杯のコーヒーを楽しむとより充実したコーヒーブレイクを過ごせるかもしれませんね。
A cup of KOHII with love
(編集:Jongmin)