コーヒーのソーサーはアリかナシか。受け皿ではない本当の役割とは?

ソーサーのかつての役割は「受け皿」にあらず

この間、近所のカフェでお茶をしていると、ソーサーにふと目が留まりました。

ここ数年はコーヒーもテイクアウトする機会が増えて、外でも家でもタンブラーで飲むことが多かったのですが、陶磁器のカップですするコーヒーのおいしさをあらためて感じました。そして、気になったのが「ソーサー」という存在。何のためにあるんだろうと軽くググってみると……「カップから飲み物を移し、飲む器として使われていた」とある。信じ難く、「全日本コーヒー協会」のウェブサイトを覗いてみても答えは同じ。マリーアントワネットの時代には熱い飲み物をソーサーにあけて冷ましていたようです。嘘のような本当の話を知りました。

現代でのソーサーのお役目は、ティースプーンや砂糖、ミルクの置き場所が一般的。

例外ですが、オーストリアのウィーンの喫茶店ではティースプーンには別の定位置がありました。ソーサーもあるのにわざわざコップの上に置く理由って何でしょうね。

あとは、受け皿として。実際のところ、シンガポールでソーサーは大活躍しています。日本ではウェイターさんがサーブするときにこぼれることは滅多にありませんが、こちらでは気にも留めていません。「だってソーサーがあるでしょ?」とでも言いたげな堂々たる姿です(あふれるほどたっぷり注いでくれてありがとうございます)。

カップとソーサーの組み合わせにルールなんてない

シンガポールではカラフルなプレートをよく見かけます。これは、通称「ホーカー皿」と呼ばれるメラミン樹脂の器。ホーカーとは屋台街のことで、チキンライスやバクテー、サテなど安くておいしいローカル料理を扱う屋台では大抵、この食器が使われているのです。

軽くて丈夫、熱にも強い。しかも安い。スタッキングできるので日本の台所でも重宝するだろうと、帰国時にお土産として渡すと喜ばれます。

カップは磁器、ソーサーはメラミン樹脂という組み合わせが楽しい。

これまでカップソーサーは「セット使い」が当たり前だと思い込んでいたので、自由で新しい食卓に出会えて、なんだかうれしくなりました。

アラビアのいつものカップソーサーを……

今日は空色のソーサーに変えて、午前のコーヒーブレイク。

午後のおやつの時間では、サイズを変えてクッキーを添えてみました。色を変えるだけで気分が変わります。あってもなくてもいいと思っていたけれど、ソーサーやるじゃん。器が変わると味覚も変わるかもしれませんよ。enjoy!

※参考:「全日本コーヒー協会

執筆:naoko tsutsumi
編集者。関西と東京の出版社勤務を経て、フリーランスのエディター/ライターとして活動する。ヨガやボディーワーク、旅の雑誌づくりに携わる。近頃の定番は、京都発のコーヒーブランド「% Arabica」のブレンド。京都の本店にもいつか行きたい。関西生まれシンガポール在住の猫飼い。

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