コーヒーの街・清澄白河にて。材木倉庫の息吹を感じながら開放的な空間で飲むコーヒー【オールプレスエスプレッソ】

オールプレスエスプレッソは、1989年に創始者であるマイケル・オールプレスがニュージーランドで始めたロースター。それがコーヒーの街・清澄白河にデビューしたのは、2014年のこと。マイケルが東京の街を自転車を走らせていたときに見つけた古い材木倉庫をリノベーションし、地元の人に、そしてコーヒーラバーに愛される清澄白河のロースタリーカフェとして誕生した。今回は、焙煎・品質管理を担当する石田祐太さんに話を聞いた。

人と人をつなげる、それこそがコーヒーの良さ

コーヒーはずっと、好きです。小さい頃に飲んだコーヒー牛乳の頃から、好き。その頃はブラックコーヒーは飲めなかったんですけど、おばあちゃんが休みの日の昼ごはんで出来合いのリキッドコーヒーを休みの日のに出してくれるのを飲んで、ちょっと味を覚えて。中学生の頃から飲んでいましたね。就職は都内の一般企業でコーヒーとは関係のない仕事をしていたのですが、そんな中でもコーヒーとかカフェっていうのは趣味でもあったし、自分の落ち着くところというか、純粋に好きだったんですね。そんな頃、ちょうどコーヒーのサードウェーブが来て。

ある日、エチオピアのイルガチェフェを飲んで「僕が知っているコーヒーとは全然違う!」と衝撃を受けました。当時はまだ喫茶店スタイルやコーヒーのチェーン店が多い中で、サードウェーブスタイルのコーヒー屋さんだとバリスタとお客さんの距離が近くて、そこで交流が生まれる。コーヒーが人と人を繋いでるそんな様子も、すごく魅力的に感じましたね。

コーヒーが好きだという思いもありつつ、いつか海外に繋がる仕事をしたいなという思いがありました。これは、コーヒーを始めるしかない!と、コーヒーの仕事に就きました。いまから10年ほど前ですね。いまはもうないですが、神南の「FILBERT STEPS」というお店です。

次は、「Coffee Wrights」という三軒茶屋にあるお店に。その後カナダのバンクーバーへワーホリで1年間行きました。そこバリスタとして働き、帰ってきてからは生豆の卸の業者の営業をしていました。コーヒーに関わるいろいろな職に就きましたが、やっぱり直接コーヒーに携わりたい自分がいて。提供したり、焙煎したりしたいなぁ、と。特に焙煎に興味があり、ここオールプレスエスプレッソで働くことにしました。

焙煎士は、技術職に近くて人と話す機会は全然バリスタよりも減ります。もう、豆と話すみたいな、そういう感じ。ですがここのお店はガラス張りになっていて、焙煎をしながらでもお客さんの顔がすごく見えるんですよ。そのバランスが、自分にとってすごくいいですね。自分が焼いた豆をお客様が飲んでいる姿を見られるっていうのは、うん、大きいです。僕がコーヒーに携わっているベースとしては、コーヒーを通じて人が繋がることに関われるのがすごくうれしいので。

仕事の上でこだわっていることは「フレンドリーであり、プロフェッショナルであること」。カジュアルでありつつ、職人気質は忘れずにいたいです。自分の中ではあくまでもプロフェッショナルではあるけれども、お客さんさんと話すときはカジュアルに。お客さんからは親しみやすいと思われていても、焙煎や抽出のところではシビアにコーヒーと向き合っている。そんな二面性を大事にしています。焙煎しているとお客さんと実際に触れ合うことがないですが、このお店はガラス張りでもあるので「見られていること」は意識して、コーヒーを扱う所作を大切にするようにしています。

このお店は、開放感がいいんですよ。焙煎しているところも見られるなんて、いい環境だと思います。木材倉庫だった過去の空気感も残しつつ建てられていて、どこか居心地がいいんですよね。

焙煎方法にも、いろいろあります。「オールプレスエスプレッソ」ではローリングといって熱風式の焙煎機を使っています。他には直火、半熱風方式などがありますが、熱風式だと1日で何回も焙煎ができ、味も安定していて、味わいもクリアに仕上がります。豆の卸をしているので、効率よく安定した味に仕上がることを、大切にしています。

焙煎方法によって、味わいも変わってきます。例えばローリングはまろやかですっきりとしたクリアな味になりやすく、半熱風は尖りのある味になりやすい。バリスタ時代は、焙煎方法の違いが味に与える影響ってあまりよくわかっていなかったですが、味わいが変わってくるんですよね。同じコーヒーに携わっていても、視点を変えることで見えることがある。それを、大切にしています。今後は、豆の精製法のほうも掘っていきたいですね。スペシャルティコーヒーって精製法がたくさんあるんです。発酵や、お酒に漬けたりというのもあります。それを勉強していきたいです。

コーヒーに携わって10年経った今でも、一番おいしかったコーヒーを思い出すと、先ほど申し上げた「おばあちゃんのコーヒー」なんです。

ただ出来合いのリキッドコーヒーに、お湯を入れるだけのものなんですけど。もちろん薄いです(笑)。でも、なんかおいしかったんですよね。自分的に印象に残ってるのって、今でもそのコーヒー。究極なところをいうと、むしろそれが理想というか。

もちろん「このコーヒーはエチオピアのなんとかで、こういう品種で、こういう精製法で、すごいおいしい」という世界も大切なんですけど。それを抜きにしても、「なんかこのコーヒーおいしいね」とか、そのコーヒーを飲むことで会話が生まれたり。例えばパートナーにコーヒーを淹れてあげるシーンとか。そういうこと全部が、僕のコーヒーの理想の楽しみ方ですね。

コーヒーは僕にとって、人と人を繋ぐ最高のツール。自分が焼いた豆や提供したコーヒーで、人と人が繋がってくれるのが理想ですね。










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