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    公正を期し、未来が明るいコーヒー業界を。ブラントさん【KOHII meets Roasters】

    今回のゲストはCOYOTE the ordinary shopのヘッドロースターであるBrant Tichkoさんです。彼はCOYOTE the ordinary shopにて、ロースターとして、生産者に近い距離でコーヒー業界が抱える様々な課題に取り組んでいます。これからはグローバルなコーヒーコミュニティを築き、持続可能なコーヒー産業を作り上げたいと語るBrantさん。今回のKOHII meets Roastersではそんな彼のキャリアストーリーをお届けします。

    Brant Tichko(ブラントさん):COYOTE the ordinary shop ヘッドロースター


    By KOHII Creator Jongmin

    生産者と消費者の間で

    ーー自己紹介をお願いします。

    こんにちは。COYOTE the ordinary shop(以後、「COYOTE」と表記)でヘッドロースターをしているBrantと申します。COYOTEではエルサルバドルの生産者から直接、生豆を仕入れています。私は代表の門川さんが買い付けに行っている間に焙煎から店舗のマネジメントまでの仕事をしています。

    ーーCOYOTEの活動について教えてください。

    COYOTEは、エルサルバドルのチャラテナンゴ地域から高品質なコーヒー豆を適正な価格で直輸入しています。全国のロースターさん向けに生豆の卸をしていますが、the ordinary shopの店舗ではカフェでの利用もできます。

    エルサルバドルの生産者が厳選してつくったスペシャルティコーヒーが飲めることがthe ordinary shopの一番の魅力です。同じ産地でも、全く異なる個性を持つコーヒーに出会う体験ができます。さらにコーヒー豆は量り売りスタイルで、コーヒーのお供に植物性のスイーツを楽しめるなどの環境保全の取り組みもしています。

    ーーCOYOTEのこだわりを教えてください

    COYOTEは、エルサルバドルの農園のこと、生産者のこと、コーヒーのことまで一杯のコーヒーにまつわるリアルなストーリーをお届けしています。代表の門川さんが一年以上現地のコーヒー生産者として過ごしたので、信頼関係のある生産者からコーヒーを直輸入しています。今も定期的にエルサルバドルの農園に訪れたり、オンラインでCOYOTEのスタッフと農園の方と話し合いをするなど交流が続いています。

    シングルオリジンコーヒーのラベルには、生産者の直筆サインを入れていて、商品名でも生産者の名前を紹介しています。コーヒーが人がつくったものであることを身近で感じてもらえるような工夫です。

    日本からは遠いエルサルバドルですが、コーヒーを通して、消費者と生産者をつなぐ架け橋のような存在でありたいと思います。

    自由で若い業界で始まった挑戦

    ーーBrantさんが来日されたきっかけを教えてください。

    アメリカで大学2年生まで通い、交換留学生として関西外国語大学に来ました。1年間、留学生生活を存分に楽しんでから、帰国するタイミングで、ALT(Assistant Language Teacher)の制度について知りました。

    当時、将来は先生になるつもりでいて、アジアにも住んでみたいと思っていました。ALTになれば、教員のキャリアを積むと同時にアジアで暮らす経験も得られるので一石二鳥だと思い日本に残ることになります。

    ーーコーヒー業界に興味を持った理由を教えてください。

    もちろん、ALTの仕事も満足していましたが、その気持ちと同じくらいコーヒーが好きだったことが一番の理由です。

    コーヒーを淹れたり、飲むだけではなく、コーヒー産業に興味がありました。スペシャルティコーヒーは農家の生活向上、環境保全、トレーサビリティの透明性など様々な社会課題と向き合っています。社会的に貢献性の高い仕事にも関わらず、まだまだ発展途上中の業界なので、自由度が高く、自ら新しい何かに挑戦する仕事ができると思いました。

    自分の気持ちを試すために、アルバイトをしてみたいと思いましたが、ALTは公務員なので副業をすることができませんでした。ですので当時は休日に、大阪のSTREAMER COFFEE COMPANYでお手伝いをしました。

    お手伝いなので、基本的には皿洗いとレジの業務しかしなかったのですが、おかげでたくさんのコーヒー業界関係者とつながったり、コーヒーのイベントを知ることになりました。平日はALTの仕事を、休日はコーヒーをする生活をしばらくの間繰り返しました。時間が経つほど、コーヒーを知りたいという気持ちが強くなったので、仕事にすると決めました。

    ーー最初はどんな仕事をされたか教えてください。

    コーヒー関係のイベントで小川珈琲の方と知り合い、社長面談を通して小川珈琲に入社しました。当時、ボストン店に店舗を出していたので、英語が流暢なメンバーを探していて、タイミングがよかったです。ボストンは実家から近いので(笑)。小川珈琲では、本当に色んな業務を経験しました。

    最初は、イベントやプロモーションなどの企画・開発の仕事をしました。中でも社内のバリスタチャンピオンを海外にプロモーションする仕事を担当して、コーヒーのことも深く学べました。そのうちに自分も選手として競技大会に出ました。

    生産者と近い距離で、コーヒーに携わる

    ーーロースターになったきっかけを教えてください。

    企画や開発の仕事も興味深かったのですが、コロナウィルスの影響で在宅勤務が続いたことをきっかけにコーヒーとの関わり方を見直しました。実はコーヒー業界に入った当初から焙煎をして、生産者に近づきたい気持ちが強かったです。

    コーヒーの消費国だと焙煎の仕事が生産者に最も近い距離なので、焙煎がしたいと思っていたらCOYOTEの門川さんと出会いました。当時、彼は買い付けに専念するために、焙煎を担当する人を探していたので、私はすぐに「やります!」と答えました。

    ーーはじめて、焙煎をすることになって大変だったことはありませんでしたか?

    最初は生産地で焙煎の経験がある門川さんのローストプロファイルと自分のローストプロファイルを確認しながら、プロファイルを調整しました。その作業を繰り返すうちに自分の中でも焙煎のノウハウも蓄積されました。当初はどのタイミングでコーヒー豆を出せば良いのか、わからず焦りながら焼いていたことを思い出します(笑)。

    COYOTEはダイレクトトレードをしているからこそ、消費者は生産者の顔が見えます。焙煎士は、その仲介者なので、その役割にとても責任感を感じました。生産者がつくったコーヒーの魅力を最大限活かすこともできれば、極端な例えですが生産者の顔に泥を塗ることもできます。

    生産者とつながっている感覚

    ーーCOYOTEでの仕事を通して得た気づきがあれば教えてください。


    COYOTEでは、直輸入しているエルサルバドルのコーヒーのみを扱っています。ですので、最初は生産国が同じならば、味の傾向も似ているだろうと思いました。しかしカッピングをすると、エルサルバドルの中でもテロワールの違いを感じます。エルサルバドルに集中して、テロワールや精製方法による繊細な味の違いを感じれるのは、楽しいですね。中には同じ地域でも、味わいが大きく違うコーヒーもあって、驚く時もあります。

    後は焙煎を通して、生産者の性格を感じる感覚があります。例えばCOYOTEのラインナップにRaulという名前の生産者が作ったコーヒーがあります。彼のコーヒーは焙煎をする時に焼きムラが少ないです。おそらく彼は栽培や精製の仕方に手を抜かないで、とても丁寧な性格の持ち主だと思うんです。

    店舗は今年の7月で一周年を迎えました。これから毎年、同じ生産者さんの豆を取り扱う中で、その年ならではの味の変化を感じていけそうで、楽しみにしています。

    ーーコーヒーを通して、生産者とつながっている感覚になるんですね。

    そうですね。お客様には「あのバリスタが淹れてくれるコーヒーだからこそ、いつものコーヒーよりもなおさら美味しい」という感覚があると思うんです。それは全く根拠のない話でもなく、コーヒーは嗜好品なので、情緒的な部分は味に影響すると思います。だから、コーヒーから人間味が感じられることは重要だと思います。

    ロースターにとっても近い感覚があって、先入観を持たずコーヒーをカッピングするという前提に、生産者が見えるコーヒーは美味しく感じます。また応援したい気持ちにもなります。あたりまえに美味しいコーヒーはなくて、生産者の多大な努力の賜物だとロースターとして実感するからこそ、生産者が持つストーリーも消費者のみなさんにも伝えたいです。

    より良いコーヒー業界にするために

    ーーコーヒー産業における問題意識があれば教えてください。

    コーヒー産業は、まだまだ不平等な構造の中に成り立っています。情報としては広がっているけど、その問題に直面する瞬間は少ないので、中々、自分事に考えることが難しいです。「生産者の努力があるからこそ、美味しいコーヒーが飲める」ということは当然のことで、だから生産者を中心にした産業構造に変化していく必要があります。

    生産者のストーリーを届けるということは、目の前のコーヒーがなぜ美味しいのかをプレゼンすることでもあります。コマーシャルコーヒーよりも、適切な価格設定をしているスペシャルティコーヒーは、消費者にとって最初は高く感じられるかもしれません。だから美味しいコーヒーを飲んで、目の前の美味しいコーヒーをつくるためには、生産者の多大な努力が必要であることを伝えて、はじめて消費者に価格に見合った体験をしてもらえると思います。

    他にもよく議論される問題として、業界雇用におけるジェンダーの不平等があります。バリスタもロースターは男性が多い一方で生産地のハンドピッカーには女性が多いですね。問題の背景が複雑なので、すぐに解決できる問題ではないと思います。このように最初からSocial Justice(社会的公正)の意識をSocial Movement(社会運動)、行動が起きるレベルまでに引き上げるのは、まだ現実的に難しいです。しかし、問題を問題として認識している時点で、発展性の高い業界だと実感します。

    消費国で、ロースターはコーヒーのサプライチェーンにおいて、最も生産者に近い位置です。私自身も一人のロースターとして、コーヒー産業・業界が抱える問題を意識して、少しずつ行動していきたいと思います。

    ーー今後のビジョンや目標があれば教えてください。

    COYOTEとしては、エルサルバドルの魅力をより発信していきたいですね。日本で中南米はなんとなく治安が悪いというイメージで広がっています。エルサルバドルも長い内戦の歴史があり、自然災害の被害も受けた国です。

    Photo by esau-gonzalez on unsplash

    しかし、それらのニュースに隠れた魅力的な文化が多くあります。エルサルバドルは、食文化やインディゴ(藍)が有名ですね。あとカカオの生産量も多いです。最近、面白いニュースとして、エルサルバドルでは、昨年、ビットコインが世界で初めて法定外貨として採用されたんです。

    内戦や自然災害の傷を乗り越えて、今はとても革新的で、発展する可能性が高い国です。

    個人的には、もしアメリカに帰国することになれば、アメリカでCOYOTEのコーヒーを広げたいです。エルサルバドルからの物理的な距離も日本よりアメリカが近いので、現地の新鮮な豆を早く手にできると思います。また、アメリカ在住のエルサルバドル人と協力すると、現地の方と厚いネットワークを築きたいです。将来的には日本、アメリカ、エルサルバドルと海を越えたグローバルなコミュニティを通して、コーヒー産業・業界をよりよくしていきたいです。


    COYOTE the ordinary shop(instagram

    Brant さん(SNS


    A cup of KOHII with Love (執筆・撮影:Jongmin)

  • KOHII PEOPLE #7『今日もコーヒーを淹れて』著者:Mocha

    KOHII PEOPLE #7『今日もコーヒーを淹れて』著者:Mocha

    2004年からコーヒーの自家焙煎と自家製パンについて独学し、YouTubeやインスタグラムでその様子を発信する@mocha_kurashiさん。動画の中で語られる人生観や自分らしく生きる姿にファンが多く、現在YouTube登録者は22万人を突破。オリジナルブランド「コーヒーのあるくらし」では、自家焙煎珈琲豆やオリジナルグッズをデザイン・販売。著書『今日もコーヒーを淹れて』では、自身のコーヒーに対する想いを綴っている。

    そんな@mocha_kurashiさんの生き方の一端、そして、側にある“コーヒー”の存在について聞いた。

    魅せられて、早20年。コーヒーから人生を学ぶ日々

    ーーどのようにコーヒーを楽しまれていますか。

    私は1日平均2~3杯のコーヒーを飲みます。

    自分で焙煎した豆を数種類常備しているのですが、シチュエーションに合わせて豆を選びます。例えば、目覚めの1杯は、甘み・苦味・コクがしっかり感じられる深めのコーヒー豆。午後のゆったりしたいブレイクタイムには、モカベースのフルーティーな豆。慌ただしい1日の終わりには、マイルドですっきりとした豆……というように。

    ブレンドするときは毎回豆の比率も少しずつ変えているので、一期一会の味も楽しめます。何気なく組み合わせた豆が、想像以上においしかったら、それだけで、なんだか幸せな気分になれます。

    豆は電動ミルで引くこともあれば、よりコーヒー時間をゆっくり満喫したいときは、手挽きミルでゴリゴリ挽くことも。抽出方法もペーパーだけでなく、ネルドリップやエスプレッソ、フレンチプレスなど、気分に応じて楽しんでいます。

    寒くなってきたら、あたたかいカフェラテやカフェオレも登場しますね。ミルクを足しても選ぶ豆や抽出方法によっても味がだいぶ変化しますので、自分好みの味を探求するのも1つの楽しみです。

    私にとって特別に感じているのは朝のコーヒー。

    早朝の静かなキッチンでゆっくりコーヒーを淹れることほど、清々しい気分になれるものはありません。BGMは好きな音楽だったり、鳥の声や潮騒などの自然音だったり。

    我が家は海辺の田舎町で周囲に何もありませんが、有難いことに自然豊か。コーヒーを淹れる時間帯には、黎明の変化する海空の風景も楽しめます。

    コーヒーの抽出方法はスタンダードなペーパードリップ。

    最近愛用しているドリッパーは、ハリオのV60で、細口のサーバーで3回に分けてゆっくりお湯を回しかけます。豆はガラポン抽選機のような手廻し焙煎機で焙煎したもので、焙煎度と味は自分好みに仕上げています。

    ドリップ豆が膨らむ音まで鮮明に聞こえる静けさの中で、ゆっくりコーヒーを淹れる時間は最高に贅沢です。

    私がコーヒーに魅せられて早20年が経ちます。何気なく始めた趣味ですが、まさかコーヒーから人生を学ぶとは思ってもみませんでした。

    思い返すと、インスタントコーヒーに慣れきっていた私にとって、新鮮な豆で淹れたコーヒーのおいしさは衝撃的でした。その後、自分で焙煎してみようと思い立ち、自作の空き缶焙煎機で初めて焙煎した豆のおいしさ。今も忘れられません。

    そしてある日、同じ豆でも淹れ方次第で味が全く変わることに気づいたんです。丁寧に淹れるコーヒーは味わい深く、上の空で雑に淹れると味気ない。まるでコーヒーに、どんな気持ちで淹れているのかを見透かされているようでした。集中して何度もドリップしているうちに、不思議と自分の心の状態に気づく感度と余白も持てるようになっていました。

    仕事に追われていると、忙しさでいっぱいいっぱいになりますが、コーヒーを淹れると心に落ち着きと余白が生まれます。そして、一瞬にして日常を非日常に変えてくれるのがコーヒーの香り。

    何にも勝る自然のアロマです。

    私にとってコーヒーは、手軽に味わえる非日常と心の余白みたいなもの。身近な物でいつでもこんな瞬間が得られるのは、嬉しいことです。

    機嫌良く、気持ちよく生きていきたい

    ーー@ mocha_kurashiさんのマイルールは?

    マイルールというほどではありませんが、常に意識しているのは1日を機嫌よく過ごすことです。

    私にとってそれを実現する大切な時間帯は朝。朝の気分が1日を作るといっても過言ではありません。いつも日の出前に起きて、動き始めます。

    起床後一番最初にやるのは、リビングの窓を開けること。新鮮な空気を感じると、ぼんやりしていた頭がすっきりします。それから座禅を30分。これは20年ほど継続している習慣です。

    寝起きの丸まった背筋を伸ばし、ただ呼吸を感じるだけですが、心身共に深いリラックスが得られます。それから、丁寧にコーヒーを淹れる。

    朝一番に心身を整えて、目覚めのコーヒーを飲むだけで、驚くほど気持ちが上向きになるんです。どんな気分でスタートするかで1日の質もだいぶ変わります。

    ーー素敵な⼤⼈とは?

    「大人げない大人」です。

    童心を忘れないというか、自分らしく、あるがままに生きてる人ですね。大人になるにつれ、我慢や同調する事に慣れていきますから、自分の気持ちに正直に生きられなくなるものです。

    周囲との調和が良しとされる世の中で自分の心のままに生きるには、ある種の強さ、ユニークさ、人生哲学が必要だと思うんです。

    今まで出会ってきた素敵な大人は皆、そうでした。

    何かをやるときも、「意味のあること、お金になること、将来に繋がること」といった打算ではなく、「ただ純粋に楽しいから、好きだから」そんな理由だけで、何かに没頭できる人はとても魅力的です。

    ですから「なんでそんな変なことやってるの?」誰かにそう言われることがあったとしたら、それは素敵なことかもしれません。

    世間一般の価値基準からはずれた、自分だけの価値観で生きている大人の証ですから。何かに没頭する大人げない大人が増えると、社会に漂う閉塞感もゆるむのではないでしょうか?

    私もそんな大人の一人でありたいものです。

    ーー1 ⽇にあともう5分あったら?

    なにもしないと思います。(笑)

    普段はとにかくいろんなことをしすぎてますから。私たちは、何かをすることには慣れてますよね。リラックスするのも、温泉に行く、映画を見る、おいしいものを食べに行くだとか、能動的なことはわりといつもやってます。

    ですが、何もしないでいるのは不得意です。

    たった5分でも、5分あったらスマホを見るとか、メール返そうとか、そわそわして、何だか落ち着かない。そんな人も多いのではないでしょうか? 私も気づくとそんな風になっているときがあります。

    1日5分でもなにもしない時間をつくれば、心のスピードも今よりはゆっくりになりそうなので、できるだけぼーっとしてみたいです。

    何かをやって得るものより、あえて「何もしないことで得られるもの」が、今本当に必要なものなのかもしれません。

    @ mocha_kurashi
    独学にてコーヒーの自家焙煎や自家製パンを研究。YouTubeをはじめとするSNSでその様子を発信する。現在、YouTube登録者は22万人を突破。オリジナルブランド「コーヒーのあるくらし」にて自家焙煎珈琲豆やオリジナルグッズのデザイン・販売をする。著書に『今日もコーヒーを淹れて』。

  • 初めてでも安心!スペシャルティコーヒー入門【KOHII豆知識】

    初めてでも安心!スペシャルティコーヒー入門【KOHII豆知識】

    最近はスペシャルティコーヒーという言葉も珍しく無くなり、コンビニのコーヒーでもその名前を聞くようになりました。

    街で見かけることも多いスペシャルティコーヒーを謳ったコーヒーショップ。入ってみると多くの種類のコーヒーが並んでおり、何を頼めば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

    今回のKOHII豆知識では、そんなコーヒーショップでまず何を頼むのが良いか、お話ししていきます。

    Photo by Preston Goff on Unsplash

    キーワードは「シングルオリジン」と「ドリップ」

    まずは、シングルオリジンのドリップコーヒー(プアオーバー)を頼むのが良いと思います。

    ①「シングルオリジン」とは

    シングルオリジンとは、単一農園とも呼ばれ、この生産国の、この地域の、この農園で採れたコーヒーということです。

    そもそもスペシャルティコーヒーとは、ざっくり説明すると、コーヒーは生産地ごとに違う味わいを持っていて、その違いを楽しもうという概念です。ですので、せっかくスペシャルティコーヒーショップなら、シングルオリジンのもので、生産地ごとのユニークな味わいを楽しむのが良いと思います。

    ②「ドリップ」とは

    いわゆる、ブラックコーヒー。そう聞くと苦そう!と感じるかもしれませんが、浅煎り〜中煎りであればその飲みやすさにびっくりする方もたくさん。コーヒーの味わいを一番よく引き出せる方法でハンドドリップしているお店が多く、スペシャルティコーヒーの甘味、酸味や香りが一番わかりやすく感じられる飲み方です。

    コーヒー豆とお湯だけでできているので、生産地の特性を味わうにはもってこいです。

    浅煎りのコーヒーであれば、より生産地ごとの特徴が感じられやすいので、できれば浅煎りの方がおすすめです。

    困ったときはコロンビアかエチオピア

    Photo by Andrew Spencer on Unsplash

    よし、じゃあシングルオリジンのドリップコーヒーを頼もうと思ったのも束の間、目の前に非常に多くのコーヒーが並んでいて、これまた悩ましいですよね。コーヒーショップではそれぞれのコーヒーの特徴が書いてあったり、スタッフが説明してくれたりしますが、どれもよく分からないこともあると思います。

    そんな時におすすめなのは、コロンビアとエチオピアの2国です。

    両国ともフローラルでフルーティーなコーヒーが特徴的な産地で、コロンビアはクリーンで明るい味わいのものが、エチオピアは紅茶に例えられるような華やかでフルーティーな香りのものが多く、とても飲みやすいのが魅力です。

    その特徴を生かすため浅煎り〜中煎りで仕上げるお店が多いので、いわゆる普通の苦味のあるコーヒーとの違いがわかりやすいと思います。クリーンと表現される、すっきりと飲みやすいコーヒーが比較的多く、また、どちらもメジャーな生産国であるため、ほとんどのお店で必ず1種類は見つけられるのもポイント。困った時はコロンビアかエチオピアを選んでみてください。

    もちろん、エスプレッソやラテなどが好きな方はそちらを頼むのも良いと思います。コーヒーショップの中には、サイフォンやエアロプレスなど抽出方法にこだわったお店もあるので、プアオーバーのドリップで無ければいけないということもありません。

    コンビニや自販機でも買えるけれど、せっかくスペシャルティコーヒーショップに行ってコーヒーを飲むのであれば、シングルオリジンのドリップコーヒーで生産地ごとの特徴を味わうのがおすすめです。

    スペシャルティコーヒーってよく聞くけどあまりよく分からないという方は、今回の記事を参考にしつつ、同じコーヒーでも生産地ごとに違う味わいをぜひ感じてみて下さい。

    お気に入りのコーヒーが見つかることを祈っています。

    A Cup of KOHII with love

    (編集:Tomoki)

  • コーヒーの“マイタンブラー”に最適。完全止水で香りを楽しめるボトル

    コーヒーの“マイタンブラー”に最適。完全止水で香りを楽しめるボトル

    “BYO”の直訳は「自分自身のを持って来てね」

    海外のカフェやレストランで見かける“BYO”という表記をご存じですか? “BYO”は“B.Y.O”と書くこともあります。これは「Bring Your Own〜」を略したものです。

    カフェならカップ、スーパーマーケットならバッグを持参してという意味で、レストランならお酒を指して「お酒の持ち込みOKですよ」ということになります。

    私が今住んでいるシンガポールでは、2022年に入ってようやく一部の日系スーパーマーケットでプラスチックバッグの有料化が始まりました。

    他の店でも繰り返し使えるショッピングバッグをレジ前に並べるなど、使い捨てのものを排除していこうという意識付けが始まった気がしています。

    日本では「マイ〜」という言葉を日常的に使っていますが、海外では“Bring Your Own”と表現されているのをよく見かけます。

    コーヒーを飲むなら金属臭が移らないボトルで

    近所のカフェではカップを持っていけば値引きサービスが受けられるうえ、「ありがと!」と笑顔までもらえるんだから持っていかない手はありませんよね。

    これまで様々なタンブラーを遍歴してきましたが、数年前にSTTOKEに出会ってようやく落ち着くことができました。

    もうご存じかもしれませんが、とにかく無臭なのがいいんです。

    「内側がセラミックコーティングされているから飲み物に金属臭が移ることがない」

    という謳い文句につられて本当によかった。笑

    コーヒーは“香り”を飲むものだと思っているので、それを邪魔されてしまっては飲む意味がないのです。白湯を入れて美味しく飲めるほどです。

    蓋もすごいんです。

    見事に漏れません。完全止水。

    蓋は2種類あって、写真右側のスライド式のほうはそこまで密封性はないのでご注意を。

    写真左の蓋はカバンに入れても大丈夫です。

    ただし、締め方に少しコツがあって、ちゃんと締めきれてなければ当然漏れるので、商品は信じても自分のことは常に疑って確認することをお忘れなきように。

    出先で目当てのカフェが混んでいても、タンブラーを持ち歩いていたらカフェ難民にならずにすみますよ。

    今日も美味しいコーヒーブレイクを。

    執筆者:naoko tsutsumi

    編集者。関西と東京の出版社勤務を経て、フリーランスのエディター/ライターとして活動を開始。ヨガやボディーワーク、旅の雑誌づくりに携わる。タンブラーはYETIとの併用派。朝淹れたコーヒーを夕方まで温かく頂ける抜群の保温力。関西生まれシンガポール在住の猫飼い。

  • アメリカンとは別物?「アメリカーノコーヒー」の特徴と由来【KOHII豆知識】

    アメリカンとは別物?「アメリカーノコーヒー」の特徴と由来【KOHII豆知識】

    コーヒー店のメニューでたまに見かける「アメリカーノコーヒー」。慣れ親しんだ「アメリカンコーヒー」だと思って注文し、思っていたものと違う商品が出てきたという経験がある人もいらっしゃるかもしれません。実際、この2つは全く違う飲み物。ということで、今回は、意外と知らないアメリカーノコーヒーについて見ていきましょう!

    アメリカーノコーヒーとは?

    この2種類の違いを端的に表すと、アメリカンが「浅煎り豆を使ったドリップコーヒー」であるのに対し、アメリカーノは「エスプレッソにお湯を加えた飲み物」なのです。典型的なアメリカーノにおいて、エスプレッソとお湯の比率は1:3と言われています。

    アメリカーノは、エスプレッソのクレマ (表面にできる泡のようなもので、コクのもとになる成分)の光沢と、エスプレッソの強い香りも残しながらも、特有の苦味が抑えられています。

    ちなみに、お湯ではなくミルクやクリームを加えてできる飲み物が「カプチーノ」や「ラテ」と呼ばれるコーヒーです。もはや兄弟のような関係ですが、その顔は全く違うことが分かりますよね!

    アメリカーノが生まれた背景

    この特殊なアメリカーノというコーヒーは、どのように生まれたのでしょうか。

    名前だけで推測すると「アメリカで生まれたコーヒー」だと思いきや、実は、第二次世界大戦下のイタリアで生まれたコーヒーなのです。イタリアに駐屯していたアメリカ兵が、アメリカ式のコーヒー(ドリップコーヒー)が飲みたいと考えたのですが、当時イタリアにおける主流の飲み方はエスプレッソでした。そこで、エスプレッソをお湯で薄めて飲むという方法が生まれ、アメリカ人の彼らにちなんで「アメリカーノ」と呼ばれるようになったとも言われています。(※諸説あり)

    アメリカーノをより身近に

    アメリカーノがどういったコーヒーか、分かって頂けたでしょうか?

    アメリカンとアメリカーノが並んでいると、知らない限りは手が出にくいアメリカーノ…。アメリカンとの違いを知っていれば、これからは確信を持ってチャレンジできると思います!

    また、アメリカーノには様々な仲間たちがいます!

    例えば、エスプレッソと湯の量が1:2という比率の「ルンゴ」、逆に2:1という比率の「リストレット」、さらに、アメリカーノと作る手順が逆の、お湯をエスプレッソで割った「ロングブラック」などなど……。普通のコーヒーより苦味が強めのコーヒーたちですが、そういったコーヒー好きの皆さんにはうってつけではないでしょうか。

    しかし、やはり苦いコーヒーが苦手な人には少し抵抗感があるかもしれません。そんな時は、同じエスプレッソを使ったカプチーノやラテを楽しみながら、アメリカーノのことを思い出してみてくださいね!

    A cup of KOHII with Love

    (執筆:Takuya)

    参考文献

    What Is An Americano? Espresso, Hot Water, and History(Sprudge)
    アメリカンコーヒーとは?美味しい作り方・おすすめのコーヒー豆を解説(KEY COFFEE)
    Hack Coffee Beans
    エスプレッソコーヒーとは?本場イタリアの飲み方は?(コーヒーコラム〜コーヒーをフランクに!〜 )


  • KOHII PEOPLE #6 コーヒーインスタグラマー:@ think147

    KOHII PEOPLE #6 コーヒーインスタグラマー:@ think147

    Coffee & Mugs(@think147)というアカウントにて、毎日1枚同じ画角でコーヒーの写真を投稿。さまざまな抽出方法により、そのときどきで選んだコーヒーカップに注がれるのは、コーヒー、そして、そのときのマインド。LEICA M8 + Elmar 50mm f2.8で切り撮られる写真は、どれも美しく情緒的。愛猫であるアメリカンショートヘアのマグの日常を切り撮るアカウント@mug0812も、見ていて癒される。

    そんな@think147さんの生き方の一端、そして、側にある“コーヒー”の存在について聞いた。

    「コーヒーとは自分時間を作るための儀式」

    ーーどのようにコーヒーを楽しまれていますか。

    コーヒーの楽しみ方。そうですね、仕事から帰ってきて、夜、仕事モードから自分時間に切り替えるために、一杯淹れるもの。

    コロナ禍になってからはテレワークが増えたので、平日日中に淹れることも多くなりました。家には常に2〜3種類の異なる豆を用意しておき、その日の気分で豆を選ぶことから始めます。

    抽出方法もしかり。ペーパードリップ、マキネッタ、それとも今日は、エアロプレス? と抽出方法を選びます。コーヒー器具は何を使おうかと悩む、それも含めて、楽しいひとき。

    そして、マグカップが好き。淹れたコーヒーをどのカップに入れて飲むのか……。カップを選ぶのも、楽しみの一つです。

    コーヒーは豆のまま購入して、淹れる直前に豆を挽く。豆を選ぶときは、豆の種類よりも焙煎度や鮮度、焙煎された日が直近かを重視しています。そして、挽くときも豆とじっくり向き合います。丁寧にハンドソートで選別され、欠点豆と言われる変な形の豆が混ざっていないか……なんてことを見つつ、リピートするかどうかの判断にしたり。そうやって、自分のお気に入りを探していきます。

    抽出方法はペーパードリップが一番多いですね。以前は焙煎度ごとや豆ごとに挽き目を変えたり淹れる時間を調整したりしていましたが、今は挽き目は浅煎りも深煎りも粗挽き、お湯の温度だけ変えて、浅煎りは深煎りよりも湯温を高めにするようにしたり。

    写真を撮ることも好きなので、コーヒーを入れた時は写真を写し、インスタグラムにあげます。

    「モノに、物事に、正面から接していたい」

    ーー@ think147さんのマイルールは?

    常にモノを大切に扱うこと。モノの価値や価格によらず、長く大切に使いたい。どんなモノでも、手を掛けて、修理や補修しながら丁寧に接していると、自分に馴染んできて愛着が湧き、更に大切に扱うようになります。結果として、長く付き合うことができるようになる。自分で5年、10年と丁寧に使い込んだモノは独特の雰囲気があり、新品には出せない良さがあります。

    いつも写真を撮っているデジタルカメラは2007年製ですが、5年ほど前に手に入れてから、今でも現役で使い続けています。今の高機能なデジタルカメラには無い、優しい雰囲気の写真が撮れる気がします。

    ーーあなたにとって素敵な⼤⼈とは?

    物事を真剣に取り組んでいる人でしょうか。仕事でも趣味でも何でもいいですが、真剣に一つのことを突き詰めようとしている人はカッコいいです。

    大人になると、さまざまなことを自分自身で決断して実践できるようになります。そのうえで、何か一つでも自分でやると決めたことを一生懸命に取り込んでいる大人は、素敵で輝いてみえる。

    例えば、おいしい一杯を作るために、真剣に焙煎機と向き合っている焙煎士さんはカッコいい。

    ーー1 ⽇にあともう5分あったら?

    読書をしたいです。電子書籍では無く、紙の本を読みたい。紙の本のいいところは、紙の香り、ページをめくること、栞を挟むことで、どのくらい読んだか視覚的にわかること。

    昔から読書が好きですが、平日は仕事で疲弊して、読書を楽しむ余裕が無くなっています。若い頃は睡眠前にベットで横になって読書が出来ていたのですが、最近はベットに入ると直ぐに寝てしまい……(笑)

    平日は読書を楽しむことができていない。だから、その5分で読書をしたいです。

    @ think147

    外資系IT企業にてプロジェクトマネージャーを担当。趣味は珈琲と写真。珈琲は自分で淹れること、写真は撮るのも観るのもどちらも好き。インスタグラムには毎日一枚、同じ画角で珈琲を写真をあげている。

  • コーヒーは精製方法で“味わい”が変わる?その違いを解説【KOHII豆知識】

    コーヒーは精製方法で“味わい”が変わる?その違いを解説【KOHII豆知識】

    コーヒーを選ぶとき、どんなことを基準に決めていますか?

    お店だったら店員さんのおすすめや気になることを聞いて決める、という方も多いと思いますが、オンラインショップなどではそうもいかないですよね。

    実際に抽出するまで分からない、コーヒーの味わい。そのコーヒーにどんな特徴があって、どんな味がするのか?一般的にプロファイル(プロフィールとも)と呼ばれるコーヒーの情報には、コーヒー選びに役立つたくさんのポイントがあるんです。

    コーヒーのプロファイルには、生産地や品種、そして精製方法など多くの記述がありますが、その中でも今回は精製方法について、そして精製方法の違いが味わいにどのような変化をもたらすのかについてご紹介します。

    そもそもコーヒーの精製って?

    精製とは、収穫したコーヒーチェリーから生豆を取り出す加工工程のことです。

    収穫したさくらんぼのようなコーヒーチェリーは、乾燥され、脱穀の工程を経て生豆の状態になります。この時、どのような工程を経るかによって、できあがるコーヒーの風味が大きく変わるのです。地域によって有している資源や環境が異なるため、生産者は通常それぞれの環境や品種にとってベストな精製方法を採用しています。

    代表的なコーヒーの精製方法

    現在、特に多くの農園で採用されている精製方法は2つあります。

    (1)ナチュラル精製

    収穫したチェリーをそのまま乾燥し、その後脱穀を行う方法です。

    チェリーのまま乾燥させるため、果肉や果汁などの成分が生豆に浸透します。そのため果実味、甘味が強くコクのある味わいになる傾向があります。

    (2)ウォッシュト精製

    収穫したチェリーをパルパーという機械に通し、果肉の大部分を取り除きます。その後、水の入った発酵槽の中で発酵させ、残った果肉とミューシレージ(※)を取り除きます。そして最後にきれいな水で洗浄し、乾燥、脱穀を行います。

    こちらは収穫後早い段階で果肉などがそぎ落とされ、乾燥段階ではほぼ残っていないため、クリアな口当たりと明るい酸味が特徴に見られる傾向があります。

    (※)ミューシレージとは:コーヒーの種子を覆っている、ぬめりのある粘質物のこと。さくらんぼを食べたときに、種の周りがぬめぬめしていると感じたことがあると思いますが、その部分をミュー̪レージと呼びます。

    その他の精製方法

    その他の精製方法としてはやや変わり種として、パルプド・ナチュラルやハニー精製、と呼ばれるものも。

    パルプド・ナチュラルは、パルパーを使い果肉を除去した後、水に漬けずに乾燥させたもので、ミューシレージまで除去できる機械を使ったのちに乾燥させる方法をハニー精製と呼びます。このとき、ある程度の果肉やミューシレージを残すことによって風味を調整することができ、その度合いなどによって「レッドハニー」、「イエローハニー」など更に細かい種類に分かれています。

    近年では、精製を単に果実から種子を取り出すための加工ではなく、発酵などの工程をコントロールしフレーバーを発達させるための手段、という見方で精製を重視する流れも。

    アナエロビック・ファーメンテーション(嫌気性発酵)など、最近新たに登場し大きな話題になっている精製方法もあります。

    今回ご紹介したのはほんの数種類ですが、コーヒーにはもっと多くの精製方法があり、世界中で様々な方法が研究されています。聞いたことのない、知らない精製方法を見かけた時は、ぜひ店員さんに聞いてみたり調べたりしてみて下さい。

    お気に入りの生産地だけでなく、お気に入りの精製方法が見つかると、もっとコーヒーライフが楽しくなると思います。

    みなさんも、私はこの精製が好き!、こんな新しい精製方法があったよ!と、コミュニケーションのきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

    A cup of KOHII with love

    (編集:Tomoki)

  • コーヒーで繋がる素敵な人の輪。abno、トリバコーヒー【KOHII Walkers】

    コーヒーで繋がる素敵な人の輪。abno、トリバコーヒー【KOHII Walkers】

    ちょっとコーヒー巡りをしませんか? 行き交う人々、流れていく時間を見て感じながら、飲むコーヒーが絶妙に美味しいと思う僕たちは、いつもコーヒーで繋がる街を歩くKOHII Walkersです。気の向くまま、コーヒーのアロマに溢れる街、それぞれコーヒーを楽しむ人々との出会いを独自の目線で写真ストーリーに記録し、ここでシェアします。

    こうして同じ写真でコーヒー、ヒト、マチの関連性を描く人と繋がりたい、日本各地のKOHII仲間と一緒にコーヒーの魅力を広げていきたいです。

    Shimakou, KOHII Walker@Tokyo

    Vol.4:KOHIIで繋がる素敵な人・場所

    @abno

    第4弾は、中央区の日本橋馬喰町・銀座で、KOHII meets Creativesの撮影でお世話になった素敵な2店舗をご紹介します!

    まず1店舗目は、馬喰町にある知る人ぞ知るコレクティブホテルDDD HOTELさんの2階にある、Cafe&Bar abno。デンマークのCoffee Collectiveや、オーストラリアのSingle Oなど、こだわりのコーヒー豆をバリスタが丁寧にハンドドリップで抽出する、スペシャルティコーヒースタンド。朝は朝食会場として、昼はcafe、夜はBarになる多彩な顔を持つお店。

    店内は、コーヒーを飲みながら窓側で作業をしている人、奥の広く落ち着きのある薄暗い空間で静かに話を楽しむ人が、お互いに相手のことを思いやりながら素敵なひと時を過ごしていました。

    僕がここでオススメしたいのはCoffee Collectiveのケニアとタマゴサンドのセット。

    この組み合わせがたまらなく美味しかった。特にクロワッサンの生地と中の卵が絶妙にマッチしていて、個人的には今まで食べきたタマゴサンドの中で1番美味しかったです!

    そこに程よく酸味・甘味のあるCoffee Collectiveのケニアが絶妙にマッチ。

    今回KOHII meets Creativesのインタビューの際、ありがたいことにスペースをお借りしたことをきっかけに、DDD HOTELさんの洗練された空気感・ホテルで働く方々の暖かなご接客に魅了され、その後ゴールデンウィークに宿泊をしました。

    コンセプトに掲げられている「ミニマルだが上質な宿泊体験」を2泊3日で思う存分味わうことができました。ベッドからシーツ、そしてDescampsのタオル等、寝具やアメニティへのこだわりを肌で感じ、上質なホテルライフを楽しむことができました。

    この時期だからこそ、ホテルで見たい映画や、作業をしながらゆっくりと過ごすことも大切だなと改めて実感しました。

    @トリバコーヒー

    2店舗目は、銀座にあるトリバコーヒーさん。銀座にはいつも服を買う時や、写真を撮る際に来てはいるものの、美味しいコーヒーが飲めるお店は知りませんでした。

    そして銀座にあるトリバコーヒーさんは世界中のこだわりの高品質豆を取り扱う銀座の名店として知られています。

    今回、KOHII meets Creatives 第2弾のゲストの方がトリバコーヒーさんとご縁があり、実現することができた貴重な2時間。そこで、人生で初のハワイ・コナをいただきました。

    これがまた、複雑な味わいで、酸味の中にしっかりと甘味と深みを凝縮した逸品。

    また、店舗や焙煎で出たコーヒーカスをキエーロやコンポストを活用しゴミの削減に努めるなど、エシカルな活動もされていることを知り、更に魅力を感じました。

    その後、2階のロースター3階のオフィスも拝見することができ、とても貴重な時間を過ごすことができました。

    その中で、「音楽」を流すという、ごくありふれた要素への重要性を改めて痛感いたしました。

    実は3階のオフィスを拝見させていただいた時、大きなスピーカーと棚にギッシリと詰まった大量のレコードが僕の目にとまりました。お店の方にお伺いすると、オーナーさんが音楽がお好きだということ、店内の音楽はここから流れている音楽とつながっていることをお聞きし、【音楽を聴きながら心地よく働く】重要性を再認識することができました。

    在宅勤務が増え、静かな部屋で一人仕事をする方が、ここ1年で増えたと思います。

    僕自身も在宅勤務をする中で、静かな空間で1人でいると孤独感を感じたり、やる気が起こらなかったりすることが多々あります。

    その際、音楽というものは僕にとって安らぎや、やる気を起こしてくれる1つの必要不可欠な要素です。

    聞く音楽はなんでもいいと思います。波のBGMや鳥のさえずり等の自然音は人のストレスを緩和させる効果があるようです。

    僕自身も朝は、Lo-fiやクラシック等の落ち着いた曲や気分を上げたいときはロックやヒップホップまで幅広く聴いています。

    人それぞれだとは思いますが、やっぱり聞くとその日の気分は大違いです。皆さんもその日の自分の気持ち・シーンに合ったコーヒー、音楽を聴き素敵な1日を送ってはいかがでしょうか。

    A cup of KOHII with Love

    執筆・編集:Shimakou
    KOHIIでフォトグラファーをしているShimakouが現在、東京のカフェ・コーヒースタンドの情報はもちろん、独自の目線で東京の1面を切りとった写真をInstagramで配信しています。KOHII Walkersでは東京を中心に様々なアーティストを交え、コーヒーと街のストーリーを写真の魅力とともにお届けします。

    <今日のKOHIIコース>

    @abno
    【住所】東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-1
    Instagram

    @TORIBA COFFEE
    【住所】東京都中央区銀座7丁目8−1
    Instagram

  • KOHII PEOPLE #5 パン屋「ふじ森」:藤森もも子

    KOHII PEOPLE #5 パン屋「ふじ森」:藤森もも子

    東京でブーランジェリー「ふじ森」「ル トーキョー フレンチベーカリー エスプリ」「FUJIMORI R&D」の3店舗をプロデュースするのが、「ふじ森」代表の藤森もも子さんだ。2019年に東横線・都立大学駅近くにオープンしたパン屋「ふじ森」では、フランス産最高級発酵バター使用の最高級フランス食パン(一斤半:3000円)を扱う。

    パンに注ぐ情熱は父親譲り。日本にフランスパンを伝えたと言われる「ビゴ東京」代表の藤森二郎さんは、約40年もの間、フランスのパンを研究。「現代の名工(厚生労働省)」など様々な受賞歴があり、親子そろって日本のパン文化に貢献する。

    そんな藤森さんの生き方の一端、そして、側にある“コーヒー”の存在を聞いた。

    「コーヒー時間は自分への“エール”」

    ーーどのようにコーヒーを楽しまれていますか。

    私にとって、コーヒーは切り替えのスイッチですかね。朝の準備を終えて、“一日をはじめるぞ”のタイミングだったり、ランチ後に“仕事がんばるぞ”だったり、午後疲れてきた時の“あともうちょっと頑張るぞ”の時に淹れます。切り替えというより、自分へのエールですかね。

    ただ、夕食後にコーヒーを飲むことはないんです。フレンチなどに行くと、必ずデザートとともに何を召し上がりますかとオーダーを取ってくれますけど、夕食後はハーブティに決めているんです。なんでしょう、改めて考えると、一日を終える自分にエールはいらないと感じているのかもしれませんね。

    普段は、エスプレッソマシーンでコーヒーを淹れています。でも、最近「焼き立てコーヒー」という概念を知って。豆を焙煎して、それを淹れてと丁寧な工程が必要ですが、鮮度を優先した飲み方でした。とてもおいしかったなぁ。

    あと、昔は200%カフェオレ派だったんですが、最近はブラックで飲むことも。粘度性のないブラックは、パンと相性が良いんですよね。サラサラとしたのど越し、味わいに、バゲットとか、あとクロワッサンとか。やっぱり合う。うちのお店でも、テイクアウトですがコーヒーは欠かせません。

    「素敵な大人は、自分主導で自力本願」

    ーー藤森さんのマイルールは?

    「健全な魂は、健全なカラダに宿る」。これは経営者だからという意味ではなく、その随分と前から、健全でいることを大切にしてきました。ヘルシーに生きることが、自分との約束事。それがマイルールですね。

    自分のカラダにとって、良いことをしてあげたいし、だからこそ、食べるものもこだわりたい。食事だけでなく、心地の良い人と接することも大切でしょう。健全なカラダや魂を持ち合わせることで、自分の調子が確認できます。誰かのことも大切にしたいし、その誰かの幸せも一緒に喜んであげたい。だからこそ、自分がヘルシーであることを最優先しているんです。

    高度なパフォーマンスを求められる現代人、アウトプットのベースはマインドやカラダ。そういう意味では、疲れていては良くないですよね。自戒を込めてなんですが。笑

    ーー藤森さんにとって素敵な⼤⼈とは?

    自分主導、自力本願な人。環境や他人のせいにしない、すべてが自分というベクトルで歯車が回っている人ですね。私たちの生活は、色々なものに影響を受けがち。景気だったり、世界情勢だったり。今回のパンデミックを経験して、誰もが実感したことだと思います。

    そんななか、私は清々しく生きていたいと考えています。非常事態だって、人生という大きな視点から見れば、「通常稼働」の一環と捉えることができるでしょう。できる限り俯瞰して自分を見つめられるようにしています(自力でどうしようもないこともありますが)。

    でもやっぱり、自分主導で、自力本願。強い人が、素敵な大人だなって思います。

    ーー1 ⽇にあともう5分あったら?

    なんだろう、おもしろい質問です。「5分」のくくりでは考えたことありませんでした。一日が36時間だったらとはよく考えます。そうしたら、いまのままの睡眠時間で、もっと仕事できるのに、もっと遊べるのにって。笑

    5分だったら、そうだな、寝る前の“1日の振り返り”を必ずルーティンにしたいですね。1日のなかで良かったことを毎日3行日記つけると良いと聞きますが、日中はとにかく駆け回っているので、1日があっという間。それでも、毎日を丁寧に過ごしたいと感じているのです。

    私にとって「丁寧に過ごす」の定義は、「その日その日をしっかり認識して終える」こと。そのために必要なのは、“1日の振り返り”ですかね。5分間のなかで、良かったこと、頑張ったこと、嬉しかったことを認識したいです。そうしたら、もっと自信が持てるかなと思ったり、あと、次の日への活力にも繋がりそうなんです。

    藤森もも子

    ブーランジェリー「ふじ森」「ル トーキョー フレンチベーカリー エスプリ」の2店舗をプロデュースする「ふじ森」代表。PRコンサルタント、ジャーナリスト、フリーアナウンサーと、その活躍は多方面で知られている。趣味のゴルフやライフスタイルをインスタグラムで発信中。

  • KOHII PEOPLE #4 ヨガ・瞑想指導者:吉田香代子 

    KOHII PEOPLE #4 ヨガ・瞑想指導者:吉田香代子 

    自分のメンテナンスを目的に始めたヨガに浸り、次第に「この素晴らしさを人にも伝えたい」という思いが高まり、ヨガインストラクターの道に進んだ吉田香代子さん。現在はスタジオ設立を経て、ヨガインストラクターの育成やプログラムの開発をしている。

    コーヒーにハマってまだ日が浅いという吉田さん。しかしながら、ドリッパーやコーヒーカップなど、インタビュー時に拝見した愛用品はどれもこだわりを感じる素敵なものばかり。吉田さんのなかで始まったばかりのコーヒーのある日常を伺った。

    「香りと空間を楽しむのが私のコーヒー時間」

    ーー吉田さんにとって、コーヒーとは?

    香りと空間ですね。実は、私がコーヒーにハマったのは今年一軒家に引越しをしてからです。新居は木造で、中に入ると木の良い香りがします。その木の香りを味わっている時に、自然と「コーヒー、飲みたいな」と思ったのです。それまでコーヒーに全然興味がなかっただけに、自分でおったまげた記憶があります(笑)。

    なぜそんな風に思ったのかはわからないまま、その日を境にドリップ式のコーヒーグッズを買い始め、その後は珈琲専門店で豆を買い……と、着々と珈琲道を歩んでいる今日この頃。

    家ではコーヒーを飲む時に鼻の奥で匂いを楽しんだり、コーヒーとともに過ごす空間そのものを味わっています。

    ーーどのようにコーヒーを楽しまれていますか。

    私は、まだコーヒーを飲みはじめたばかりのひよっこです。なので、たいして豆にも詳しくないし、抽出方法もいまいちわかっていません。

    ですが、一つだけ興味をもってこだわっていることがあります。それは器です。

    コーヒーが好きになってまず買ったのは、コーヒーカップ。京都の知人の作家さんの展示会に行き、たった一つだけ販売されていたコーヒーカップを買いました。今は、毎日それを愛用しています。好きな器に淹れて、家の中の好きな場所に座ってゆっくりコーヒーを飲むーー。そんな時間が大好きです。

    「あえて “何もしない時間”をつくることが大切」

    ーー吉田さんのマイルールは?

    時間のペースを保つこと。「ひとり親+経営者」という人生をストレス過多なくこなせているのは、時間のペースを持っているからだと思っています。時間のペース作りは収納ケースに物を片付けるような感覚と似ていて、散らかりがちな頭の中を整える感じ。整理整頓できると日中に過ごせる時間が把握できて、様々なストレスにうまく対応できるんです。

    特に忙しい日は紙に今日することを書き出して、それぞれに時間を割り振る。これが1日を機嫌良く過ごす上で大切ですね。

    ーー1 ⽇にあともう5分あったら何をしますか?

    「何もしない」という選択をしますね。5分て、意外と短い!考えても結局ろくなことが思い浮かびませんでした(笑)。それならば何もせず、瞑想でもするのが良い選択かな。

    私の瞑想の先生によると、「何もしない時間を意図的に持つのは、難しく、また、大切なことです」とのこと。この意図的な何もしない時間は、人にとって最大のくつろぎになるそうです。だから私は、最大のくつろぎを自分に与えるという意味も込めて「何もしない」をします。

    ーー吉田さんにとって素敵な⼤⼈とは?

    頭の中にパッと思いついたのは、人を巻き込める人(そして巻き込まれた人は幸せである)。ものすごい吸引力で人を巻き込んでいる人を見ると、「すごいな」と思うと同時に「うらやましい!」「私もああなりたい!」と思います。

    でもその人のことを「素敵な大人」と思っているか、と考え直したらちょっと違うのかな……?どちらかといえば、うらやましい人か!

    改めて、私が素敵な大人と思う人はどんな人だろうと大真面目に考え、でてきた答えは、「満たされている人」です。

    正直にいうと、私はまだ「完全に満たされている人」に会えていません。でも、ある一部をさして「素敵だな」と思う人を想像すると、これまでに出会った人全てに当てはまるような気がします。そんな満たされている人になりたいです。

    吉田香代子

    株式会社ジョン・スピークス代表。不動産販売事務、化粧品販売を経験した後ボディーセラピーの仕事に転身。瞑想・ヨガ・ボディーワークに浸る。「世界平和につながる」という思いで、ヨガの普及活動をしている。